社団法人 士別青年会議所 第55代理事長 千 葉 洋 介
大切なものの為に強くなる!
固定観念をぶち破り 眠っている可能性に火をともせ!
総志民参加型コミュニティの実現に向けて
はじめに
多くの人が将来に対し不安を抱き、先行きの見えない混沌とした時代、だからと言って、ただ黙って時代の移り変わりを見過ごしてはいないだろうか。
どれくらいの人が、5年後、10年後の未来に、明るい希望を持って暮らしているのだろうか。
今となっては恥ずかしい話しだが、他のまちへ出かけた時「何処から来たのですか」などの問いに「旭川の上の方だよ」「言っても分からないよ」などと自分の住むまちを恥じるかのように答え、「士別はつまらん」「何も無いところだよ」などと、「まちの事は誰かが何とかしてくれる」「俺は俺の仕事をしっかりやってさえいれば良い」と、何も分かっていない二十代前半の自分がそこにはいた。この地域の未来を思い描いたりする事なんてなかった。
それから数年後、先輩や父親の勧めによってJCに入会し、ここで与えてくれる様々な新鮮な活動をきっかけに、様々な人に出会い、刺激や気づきを重ねるうちに、自分の考え方が変わった。
この地域に住む一人でも多くの人が、些細なきっかけから地域のイベントなどに参加し、そこで何かを感じ、自分の出来る範囲で構わない、最初は一人のほんの小さな発言や行動かもしれないが、志を持って行動すれば、やがては実を結ぶのだと。
私たちはJAYCEEとして一市民として、そして現代を生きる責任世代として、地域が抱える問題に対し真正面から立ち向かって行かなければならない。私たちが地域に対し熱い情熱を持たなければ、希望に満ち溢れた明日はありえない。新たな時代を切り拓く私たち青年の力で、この地域の無限の可能性に火をともしてみようではありませんか。
力の源
およそ半世紀続いた経済中心の社会は終焉を向かえ、現在では、個人・家庭・職場・地域コミュニティにおいて様々な試みが始まりだしている。地域社会を変えていく力は、私たち市民一人ひとりの「人間力」であり、その力の源は年齢、性別、職業を問わない人と人のつながりであると考える。誰もが健康で、楽しく、安心した生活を望みます。しかし現実は、身近で心通わせ、支え合う人間関係も崩れかけ、不安定な足元を照らしてくれる明るい光が求められます。
その光は、私たち市民、一人ひとりの夢や志にかける気持ちであり、身近で些細な等身大の感動である。一人ひとりの力がその感動を連鎖し、やがては人々の気持ちをつなげていきます。
これまで、個人・家庭・職場・地域など、それぞれが培ってきた歴史や風土を背景に、それぞれの多様な個性の結集のもと、この地域に潜む「地域力」を創出していきたいと考える。
私たち一人ひとりの小さな力から社会は開けていくものである。声に出してみよう、行動してみようじゃないか「今」この瞬間から。
「志民」
私たちが生活する地域も含め、地方と呼ばれる多くの自治体では、少子高齢や人口減少などを要因とし、経済環境など様々な分野に於いて深刻な状況が依然として進行しています。もはや、時間が経てば何とかなるという楽観的な考えでは通用しないところまで来てしまったのかも知れない。このような時だからこそ、私たち市民一人一人が志をもった民「志民」となり、ふるさとの未来に「自信と誇り」という名のバトンを渡すため、責任あるアクションを起さなければならない。
私たちの生活する地域も、多様な「志民」と、それぞれの人間関係から形成されている。この人材力の蓄積は、地域の発展を継続させる上で大きな価値をもつ潜在力となる。また、市民が主体的、積極的に相互に信頼できる人間関係を形成し、地域文化や価値観を育むことは、治安の向上や災害時に於ける対応力の強化、教育や福祉の向上など、地域の安全、安心、安定の確保に大きな効果が期待され、産業・経済面においても、人材間の信頼関係の在り方が産・学・官連携や企業間連携、個々の人材のネットワークを通じて企業活動の効率性を高め、革新を促す効果も期待できる。
こうした市民生活やビジネスの場における豊かな人間関係は、ソーシャル・キャピタル(社会的資本)という新しい概念で注目されており、この事は、これからの地域社会にとって重要な基盤を形成するものとして重視すべきである。
「志民」の力が発揮できる「まちづくり」を目指すためには、行政や各種団体の様々な計画策定・実行・評価の過程に誰もが積極的に参加できる手法を確立し、新しい体制づくりを構築することが必要であり、「志民」と「まちづくり運動」との距離が遠くならないように、各種団体をつなぐコミュニティの形成が極めて重要になり、市民と行政や各種団体がお互いの役割を認識しながら、協働していける地域コミュニティを創出していきたいと考えます。
可能性
まだ記憶に新しい2004年夏の甲子園、駒大苫小牧高校が優勝をした瞬間、北海道中が感動と興奮に包まれた。嘗ての甲子園では北海道勢と言えば「雪国のハンディ」という言葉が敗因の代名詞となり、私たち北海道民からしても、「せめて一つは勝って欲しい」という願いがある程度で「優勝」などと本気で口にする事は無かったでしょう。しかし彼等はそれを覆し、深紅の大優勝旗がはじめて津軽海峡を越え、それと同時に、「雪国のハンディ」という言葉を過去のものにした。
彼等のこの偉業は、希望をはっきりとした目標に変換し、一歩ずつ確実にその実現に向かい本気で挑戦を続けた結果である。
そして、彼達がそこに踏み出した第一歩があるように、それぞれに存在する希望に近づく為、今こそ私たちもその勇気ある一歩を踏み出す時です。これから訪れる未来には幾つもの形が待っているが、「今」という時間は、皆平等に一つしかありません。目の前にある未来もほんの少しだけでも行動する事により、それが現在となり、そして過去へと変わっていきます。
私たちは常に、過去・現在・未来という時間の流れの中に存在しています。その流れを変える事が出来るのは私たちの「意識」ひとつです。
人の意識には、潜在意識という巨大な無意識の世界があります。私たちの中には、まったく異なった二つの自己が存在し、一方の自己は明確な意識を持ち、他方は無意識の中にあり、潜在意識の自己の存在に気づく人は多くはない。氷山に例えると解りやすいが、人の意識とは、表面に現れたごく一部の氷山の一角で、海面に隠れている部分が潜在意識であり、自覚している意識に比べると遥かに大きく巨大な力である。この「潜在意識」は、記憶や本能的エネルギーの宝庫であり、肉体を無意識のうちに働かせる司令塔に例える事が出来る。このような機能を持つ潜在意識の可能性から「想像できることは実現される」と言うことも出来る。有名な例として、アメリカの学者が、夢の中で古代の楔形文字を解読した話があります。夢は意識の下層に隠れたものが、刺激によって露出するものであり、夢の中で問題が解けたと言う事は、潜在意識の力で、問題を解いたとも言える。「今」この大きな可能性をもつ潜在意識を呼び起こし活用できれば、不可能とされる事をも成し遂げられる瞬間が訪れるのかも知れない。
「優勝できるはず無いべさ」と言う人が、あの夏、北海道からいなくなったのと同じように。
メリハリ
今日昨日はじまった話しではないが、JCに対する社会的評価は決して良いものばかりではない。JC運動そのものに対しての社会的な評価は高い一方で、その運動を推進している我々自身に対しては批判的な見方をする人もいないわけではない。「JCが忙しいから」所属する他の団体の会議などには足が遠のいたり、「JCの会議だから」地域のイベントには顔を出せなかったり、そのような事が続くようになると「あいつはJCをやっているから」などと周囲から後ろ指を指されるような活動であっては本末転倒であろう。JCの中だけで通用する知識を詰め込んだ理屈っぽい人間では、誰も認めてくれないだろうし、そのようなJAYCEEには成ってはならない。我々の活動を支えてくれる企業・家族などの為にもこのような現実を受け止めなければならない。
JCは、これからの地域の担い手を育成していく組織であり、それは地域を背負って様々な分野で活躍されている多くの先輩や、社会から求められているはずである。
我々はJAYCEEである以前に、一市民として、時にはJCという枠を超えて、様々な団体と共に活動を展開していかなければ、市民の意識を変えるどころか、社会に対して説得力を持ち合わせることはできない。
自分を大きく成長させてくれる魅力ある組織だからこそ、我々が貴重な時間と金をかけてでも集う価値が存在するはずだ。そんなたゆまない努力と、揺るぎない信念こそが、理想とする地域づくりに繋がり拡がるJC運動の礎になると私は確信している。
誇りと自信
すべての可能性は、私たち一人一人の「人」から生まれる。士別JCはこれまでの54年という長い歴史の中、「サフォーク運動」をはじめ地域の至るところで様々な足跡を残してきた。今年で56回目を数える「しべつ雪まつり」や、36回目となる「士別天塩川まつり」も、我々の先輩の第一歩によって誕生し、その後も、数多くの先輩諸兄の英知と勇気と情熱のもと脈々と継承され、現在も尚、地域の二大イベントとして確立されている。しかし、それ以上にJCという組織の凄さは、JCを通じて活躍した先輩が、卒業してからも、JCの現役時代と同様、それ以上に地域社会と向き合い、様々な分野で活躍されているという事実と、その大きな背中にある。JCで身に付けた様々な経験から得る大きな自信をもとに、その後の人生で眩しいまでに発揮されている事実こそが、JCの「誇り」であると確信する。
この地域の未来、明るい豊かな社会の実現のため、様々な事業に全力で取り組み、運動に費やした時間や労力は、必ず報われる日がくる。これまでの経験からそれは自信を持って言える。志を同じくする仲間と共に、突っ走った足跡は、いつの日か必ず大きな運動へと変わるはずだ。多くの先輩が、地域と共にこれまで積み上げてきた歴史に感謝し、この時代の責任世代として、堂々と自分に恥じない、次の世代に誇れる生き方を実践して行きたい。今を生きる者として、現実から目を背ける事なく真正面から向き合うこと、そのものだから。
おわりに
私は、この時代に生きる全ての者が、心をひとつにして志を同じくした時、想像を超える巨大な力が、必ず現れると信じています。
その為にも、我々JAYCEEがしっかりとした目標を持ち、その実現に向かう為、未来創造図を描き続けなければならない。たとえそれが、周りから笑われるような事であっても。たとえそれが落書きであったとしても。新しいストーリーは誰が書いたって構わないものなのだから。
我々には、必ずその力がある。時代は我々の力を必要としている。今、この地域は、我々の勇気ある一歩を待ち望んでいるはずです。
2011年度社団法人士別青年会議所は、『呼び起こせ 地域の底力 可能性は無限大!』のスローガンのもと、「このまちに生まれてよかった」と、すべての人が心から思える「誇れる地域」を創るために。士別JAYCEEの力を結集し、明るい豊な社会、活力ある故郷の創造に邁進します。
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