一般社団法人 士別青年会議所 第58代理事長 富
田 克 彦
〜はじめに〜
現在、人口の減少、少子高齢化の進行という課題は、私達の住む地域においても、年々厳しさを増してきております。
特に、少子化の進行は地域活力に直接的な影響を及ぼす恐れがある中「活力ある“ふるさと”の実現」、「笑顔で輝く“ふるさと”の未来へ」という熱い思いを私達は決して失ってはなりません。次代を担う地域の宝である子供達を、安心して育てる事のできる環境作りと、青少年育成は極めて重要な課題のひとつと私は認識しておりますが、誰もが地域の現状と問題を再認識しつつ、市民が一丸となって、知恵を出し、汗をかき、創意と工夫を結集する事で、必ず道は拓かれるものと私は確信しております。
地域活力に最も重要なキーワードであります「子供達」のため、そして「子供達の未来」のために青年としての行動力、英知と勇気と情熱を持って会員が一丸となって未来を切り拓いて行く覚悟であります。
〜歴史から始まる物語〜
私は、このまちで生を受けた事に感謝をしています。
まちの始まりには当然の事ながら必ず歴史があります。私達の住まうこの地域は屯田兵達の手によって開拓されました。
地域の礎を築いた屯田兵達が士別に入植したのは明治32年。北海道最北であり最後の入植によって士別の歴史が始まりました。
先人達の開拓精神とたゆまぬ努力のもと、農林業を基幹産業として実に115年の歴史がこの地域を育み発展へと導いてくれました。
その時代時代に先人達が額に汗し、挑戦し続け、歩んできた苦労の歴史があるからこそ現在があります。その現在を当たりまえと捉え、先人達の恩恵も感じる事なく、生活している人が多いように私は感じます。
では、そのような方達に私はこう問いたい。今の生活はいつまで続くのでしょうかと。
当たりまえの生活は永久に続く約束などはされていないはずです。
今こそ、笑顔輝く未来の為に責任世代であります私達は、先輩諸兄がこれまで積み上げてこられた信用という名の土台の上で、確りと地に足つけて踏ん張り、私達が活動する フィールドがある事の有難さと尊さに感謝し、地域の郷土愛、人と人との絆、これまで脈々と受け継がれてきた伝統や文化のためにも、熱い情熱で「誰のために」、「何のために」という思いを胸に、額に汗をしなければいけません。
〜誇りと郷土愛〜
「私はこの故郷が大好きです」
もし貴方が故郷を好きかと問われたら、どのように答えるでしょうか。
広大な自然の環境で私を養い育ててくれた家族。共に学び汗を流した友。志と進むべき道標を示してくれた仲間や先輩諸氏。新たな生き甲斐となった妻と子。
その何れの一つでも欠けていれば、今の私は存在していません。
私はこのまちに生まれ、私自身の成長と同じ時間の流れを共に過ごした、この郷土の多くの人と自然へ、様々な環境への感謝を含め、その全てに対し誇りを感じています。
しかしながら過去に一度士別の地を離れ、今とは違う職種に就いていた時期がありました。その当時は、この地を単に何も無い片田舎と思っていた時期でありました。
そのような中、私がこの地域に戻ってきたのは、実家の家業を継ぐ決心がついたからと言うだけの理由だけではなく、そこには地域に対する愛情があったからだと感じております。言わば故郷に対する「郷土愛」に気付いたからでもあります。
思い返せば幼少期に過ごした士別には「魅力あふれるイベント」が開催され、「自然豊かな風景」があり、「温かい人情」に溢れ、子供心をくすぐるような地域でありました。
しかしこれら全ては偶然によって創出されたものでは無く、必然的に創出された環境であることに気付くのには、そう時間を必要としませんでした。
私達が子供ながらに感じた「魅力」と言うのは、私達が青年となった現在、今度は今の子供達へと伝えていかなければならない。そこには地域の子供達に対する愛情があり、郷土愛を持ってほしいという思いが私を奮い立たせているのであります。
私は二人の息子を持つ父でもあります。私の「誰のために」、「何のために」運動するのかと言う原動力は、子供のためであり、子供の故郷のためであり、子供に郷土愛を抱いてもらいたいという強い情熱にほかなりません。
明るい豊かな社会の実現を目標とする青年会議所運動では、時には少し無理をしてでも活動をしつづけなければならないものと考えます。何故なら、子供のために、今やらなければこの先、自分が後悔してしまうのではないかと思えて仕方がないからです。先人達が自分に残してくれた想い出、自分に伝えてくれた郷土愛を改めて学び、地域のみならず、あらゆる方面に発信して行く事で、生まれ育った故郷を愛し、「次世代のまちづくりの担い手」として積極的に行動できる人財育成運動を推進し、更なる当事者意識を持ち、積極的に地域の課題に挑戦し、まちづくりへの参画意識の向上を私は仲間と共に目指します。
〜志同じくする仲間〜
青年会議所に入会して早5年目を迎えました。
入会して出会った仲間たちの存在は私にとって、この上ない幸せであると共にかけがえのないライバルでもあると感じております。
「修練」を共にし、「奉仕」を共にし、活動できる「友情」が存在する事を感じると同時に、自分の未熟さも痛感する事が出来ました。また、入会前は「忙しい」と言う言葉の存在をも打ち消してしまうほどの衝撃を、体感する事が出来るなんて考えもしておりませんでした。
仲良しと言う言葉はよく聞きますが、仲良しと仲間は同じではないと考えます。
一つの事業に対し、さもすれば言わなくても良いのではないだろうか、という意見を発言する事もあります。それはより素晴らしい事業を創り上げるために必要不可欠だと感じております。
主観的に物事を進めようとすれば、同じ意見が集まる事になり、限界がすぐに見えてしまいます。より良い事業構築のために、客観的角度で物事を見据え、時に仲間と意見衝突する事も必要でしょう。それが本当の意味の「仲間」であり、「友情」だと私は感じてなりません。
「目的、目標は一緒でも手法は違う」、そのような面白い事を学べる場こそ、青年会議所の魅力の一つだと私は強く感じます。
仲間を大事に、共に手を取り合い、共に汗を流し、共に笑い、共に泣きながら青年会議所運動を奮起します。
〜覚悟と情熱を持って〜
私は青年会議所で活動すると同時に、この地域で活動しております他団体、イベント等の実行委員会にも積極的に参加をしております。
主体となるメンバーは青年世代であり、皆この地域の活性化のため「活力ある“ふるさと”の実現」、「笑顔で輝く“ふるさと”の未来へ」という同じ志のもと、様々な手法をもって活動をしております。
手法が違う事により、事業構築に足並みが揃わない事も時にはありますが、これが地域連携の難点なのだろうと考えます。同時に、この難点さえ打開できれば今よりもっと素晴らしい景色が広がるものと確信します。
「地域を活性化させるには活動人口を増やす事」以前参加したとあるフォーラムで耳にした言葉であります。「地域を元気にするのはその地域に住まう市民だけでは成り立たない」、「いかに地域に対して思いがあり、行動力を発揮できる活動人を発掘し輩出するか」、「それが地域活性化の一番の近道である」と講師の方は仰っておりました。
当たり前に聞こえる言葉ではありますが、容易に実現出来ない言葉でもあると私は考えます。
地域が衰退している今こそ、地域連携の難点とは考えずに試練であると捉え、地域に対する思いを共有し、先を見据え、活動を共にできる団体が青年会議所以外にもたくさんある事に感謝をします。
そして、そのようなメンバーと共に自分達も活動し、“参加をされる方が楽しいと思う事業”のために、企画している自分達が“楽しいと思う”事業を構築する事を心がけ、スクラムを組み覚悟と情熱と「一人の活動人の前に、一人の市民である」という誇りを各々が持って活動する事が、地域活性化の近道になるのであろうと考えます。
〜おわりに〜
2014年度一般社団法人士別青年会議所は『解き放て!みなぎるパワー 笑顔で輝く未来の創造へ!!』をスローガンに掲げ活動していきます。
今こそ、子供達が笑顔で迎えられる未来のために、私達は英知、勇気、情熱を持ち合い、青年としてのパワーを発揮しなければならないと決意しております。
今日まで築き上げた足跡を糧に、更に大きな足跡を残し「活力ある“ふるさと”の実現」、「笑顔で輝く“ふるさと”の未来へ」向けて、揺るぎない一歩を踏み出し邁進する所存であります。
そこには必ず、私達の力を必要としている方々がいると信念を持って。
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